1.猫ウィルス性鼻気管炎
猫の鼻風邪とよばれているもので、咳、発作的なクシャミ、40度以上の発熱が主な症状で、放っておくと肺炎を引き起こして死亡することもあります。
【原因及び感染経路】
猫ヘルペスウイルスが原因の感染症で、感染猫のクシャミ、ヨダレなどから感染します。
また、クシャミなどで汚染された食器、衣服などによる間接的な感染もあります。
【症状】
咳、クシャミ、鼻水、ヨダレ、重度の結膜炎、目やになどの症状がみられ、40度以上の高熱を出し、元気食欲がなくなります。経過が長くなると脱水症状が進行し、肺炎を併発して死亡することもあります。
子猫の時に特にかかりやすく、成猫にも感染します。また、妊娠猫だと流産することもあります。
2.猫カリシウィルス感染症
猫のインフルエンザとも呼ばれている病気で、猫ウィルス性鼻気管支炎とよく似た症状を示します。
【原因及び感染経路】
猫カリシウィルスによる感染で、感染経路は、猫ウィルス性鼻気管支炎と類似しています。
【症状】
初期は、咳、クシャミ、鼻水、発熱と猫ウィルス性鼻気管支炎と類似していますが、症状が進むと、舌や口腔内に潰瘍が形成されるのが特徴です。二次感染が起こると肺炎を併発して死亡することもあります。
3.猫汎白血球減少症(猫パルボ)
白血球が極端に減少する病気なので、最近は、汎白血球減少症と呼ばれます。子猫などは、一日で死亡することもある病気です。
【原因及び感染経路】
伝染力が非常に強い猫パルボウィルスが原因です。感染猫との接触や感染猫の便、尿、嘔吐物などで汚染された物によって感染します。
【症状】
感染すると、元気、食欲がなくなり、白血球の減少に伴い高熱、激しい嘔吐や下痢が始まります。この症状が続くと、脱水がひどくなり虚脱して死亡します。
4.猫白血病ウィルス感染症
このウィルスに感染すると白血病になったり、免疫を作るリンパ球が侵され、免疫不全に陥ったりします。発病するとほとんど助からない恐ろしい病気です。
【原因及び感染経路】
レトロウィルスの一種の猫白血病ウィルスが原因です。感染猫の唾液中にウィルスが多く含まれているために、体を舐めあったり、同じ食器で食事をしたりすることで感染します。そのため、病気の猫に近づけなければかからないと思われるかもしれませんが、ウィルスを持っていても発病しないキャリアーといわれる猫がいますので、知らないうちに感染してしまう可能性があります。
【症状】
感染の初期は、発熱、下痢、リンパ節の腫れなどがみられますが、一時的ですぐに良くなります。その後、数ヶ月以上経過して食欲不振、元気喪失、血液系の腫瘍(白血病、リンパ肉腫)、貧血などの症状が現れ、3年以内に80%は死亡するといわれています。
感染しても発病せずに免疫になることもありますが、そのままウィルスを持ち続けるキャリアーという状態になる場合もあります。キャリアーの猫は、他の猫への感染源になりますし、発病することもあります。
5.猫クラミジア感染症
重度の結膜炎が主な症状ですが、慢性肺炎や鼻炎からくしゃみや咳、鼻水などの症状も見られます。これらの症状は伝染性鼻気管炎やカリシウイルス感染症の症状と一致しているため、症状だけでクラミジアを判別することは困難で、これらのウイルスとの混合感染も考えられます。
通常の猫同士の接触や空気伝播により感染が成立するため、特に仔猫では症状が悪化しやすく、また、一度感染すると症状が良化した後にもキャリアー化して慢性的に症状がみられることがあります。
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